今期に向けての動き。

昨年12月のネパール滞在時に、一つ疑問がありました。物量が増えた際の輸送コストを考えると、空輸から船便にいずれ切り替えなければとヒアリングを始めたのですが、カトマンズのキャリアーさんからは、船を使ってもコストはほとんど変わらないと言われました。空輸推奨でした。ネパールにお酒を輸入している会社も空輸しかやっていませんでした。ヨーロッパにコーヒーを持って行っているかたも空輸だと小林さんに聞きました。一応大使館にも問い合わせましたが時間が足らず原因が分からないまま、そんなはずはないと思い続けて帰国しました。

帰国してから仮説を。

ネパールには鉄道がごく一部にしかありません。輸送方法は飛行機と車。ネパール南部にはインドに隣接した経済特区が複数あると以前聞いていました。ビルガンジ、ビラートナガル、ビムダッタ、バドラプル、シッダールタナガール 等の陸港(Land Port) です。隣接と言ってもですよ、特急が停まるインドの主要な幹線鉄道駅まで200mとか300mの距離なんです。インド側からは自由にネパールに出入り出来ます。インドを通せば鉄道かトラックで海まで運べるはず。カトマンズから陸港まで下ろすことさえ出来ればです。ビルガンジまで下ろすルートが最有力。直線距離で90kmですが、大型車両が通行可能なルートは山岳地帯を大きく迂回しているため、実際の運行距離は約280kmになります。急勾配かつ急カーブの道が続くナグドゥンガ(Naagdhunga) 峠を越えます。日本政府の円借款で計画された峠トンネルが2022年夏に開通予定でしたが、予定通り進んでいません。道端も狭く、ひどく渋滞します。東を回り国道1号線を走れば距離がはるかに遠くなります。ネパール国内の交通インフラの未整備が陸送を阻んでいました。

神戸の知り合いの商船会社に相談すると、アジアが得意なキャリアー大手の次長さんと、LCLが得意な大阪の会社のベテランさんに繋いでくれました。話を聞くと、お二方ともネパールは未経験。聞いたことないとのことで興味津々で逆に聞いてこられました。ルートをいろいろ当たっていただきましたが出来ませんでした。前者はタイかベトナムまで持って来れないかと。後者はインドまで下ろす手段が見つからないと。タライ平野まで持って下りてくれればあとは運べるのだがと。

2023年2月、岡山で以前お会いしたジェトロの所長に電話しました。異動で岡山を離れておられました。申し訳なさそうに電話を切られた女性から、1時間ほど後にお電話がありました。岡山の〇〇さんはどうですか?と。住所を聞いてあれ?平林金属の拠点のお向かいさん。通関士が岡山にいるんだという驚きがありました。お会いすると、面白い。やりましょう。と言っていただけました。海外事業部からインドの現地法人に可能性を打診。すべての担当者に情報が共有されていきます。そして、出来ました。との報告をいただく。カトマンズからビルガンジに下ろし、3トンを車でインド、コルカタ港まで運びます。シンガポールで積替え、香港でもう一度積替え神戸港に運びます。神戸港から岡山御津まで陸送です。ワクワクするルートでしょ。ここでも思いが込められました。今年はこの海路をテストします。

2023年、今年1月に空輸した500Kgのコーヒー豆で、約30人の収入機会を創出することができました。次の3トンでは、180人(世帯)以上の収入機会につながるでしょう。生産している農家さん、収穫したコーヒーチェリーを精選加工する人たち、それらを集めて回る人たち、最終的に生豆に加工する人たち、そして関わる人たちすべてをひとつのラインにつなげてくれているビルドスさんやクンダンさん。彼らの思い。

ネパールというワードとコーヒーの輸入というワードは、面白いと思っていただけるのか、人と人が繋がっていきます。関わっている全員を知っているという事が、このネパールのプロジェクトをフェアトレードだと言える大きな自負になっています。

そして2年後、3年後にはネパール・クンダンさんの農園と、岡山産のコーヒー豆が加わるはずです。

少し早く目が覚めた日、出社までの時間ってギフトですよね。でもまだ起きあがりたくないなあって気持ち、あります。そんなとき背中を押してくれるコーヒーになりうるのかもしれません。「家族みんなが一緒に暮らしたい。」皆さんの日常使いの豆になれると最高です。

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