ネパールの豆が届きました。

この人がつくるコーヒーなら、美味くないわけがない。

これが、ビルドスさんに会って、彼が働くコーヒー農園を見て思った最初の印象。

ビルドス・ラマさん。ラマ・オーガニック農園の代表だ。農園には、約300本のコーヒーの木の他、アボカドやレモン、パイナップルなどいろんな果物の木(去年からドラゴンフルーツにも挑戦しているんだとか)、そして、10,000株の小さなコーヒーの苗。農園の代表、と言ったって、彼と奥さんのふたりだけでやっているものだから、ビルドスさん自ら、汗を流してせっせと忙しく働いている。

それから、摘んだばかりのコーヒーチェリーをパーチメントに精製加工するためのウェットミルもある。家庭用の台所シンクをつなぎ合わせたり、プラスチックのバケツに自分で穴をあけて「ザル状」に加工したり、パルピングマシンが2段階構造に改良されていたり、ビルドスさんが自身の経験を踏まえて、かつ身の回りで調達できるものを使ってたくさんの工夫を凝らしていることが伺える。まさに、彼が自ら作ったカスタムメイドなウェットミルだ。その日は、私に精製加工を見せたい、ということで、朝、ビルドスさん自ら農園に行って、チェリーを山ほど摘んできてくれていた。

話をしていて、どんな質問にも丁寧に、私の目を見て受け答えをしてくれる姿がとても印象的だった。今挑戦しているのは、嫌気発酵(パーチメント精製加工の手段のひとつ)なんだそうだ。海外と取引をしている知り合いのコーヒートレーダーに国際市場での動向を教えてもらって、自分でやり方を調べてやってみているところなんだそうだ。「まだうまくいくのかどうかわからないんだがね」なんて笑いながら、試行錯誤している姿も隠さずに見せてくれるところに、彼の実直さを感じた。

農園を見下ろす形で建っている自宅で、ビルドスさんが自ら焙煎するところを見せてくれた。もちろん、焙煎機なんてものはなくて、生豆が入った厚手で深みがあるアルミの鍋を直火にかけて、たくさんの竹の棒を束ねたものでかき混ぜ、「これがいちはぜ、これがにはぜ」と説明しながら20分ほど休まず手を動かしていた。

もうとにかく、コーヒーに対する熱量がすごい。種から、カップに注がれるコーヒーになるところまで、全てのプロセスに彼のエネルギーが注がれている!正直、私は嫉妬した。なので聞いてみた。「もうやりたいことはすべて叶ったんじゃない?」 彼はこういった。「この農園の豆は、出荷して僕の手を離れてしまえば、他の農園の豆と混ぜられて、どこで誰がどのように飲んでいるのか分からない。僕の夢は、精魂注いだ豆たちがこの農園の名前で市場に出され、そのおいしさが最大限引き出された形で飲んでもらえることなんだ。」

だから、私はこの豆を皆さんに自信をもって届けたいと思います。「ラマ・オーガニック農園」の名前で、私が飲ませてもらったコーヒーの味の感動と共に。

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