ネパールへGO。

「ネパールを支援する」と一言で言っても、単にお金だったり機械を提供したりすることで終わりではなく、彼らのために本当になにができるのかを見つけてくる、そんな旅でした。

ここのコーヒー農園の人たちは、本人たちでやろうと考えていて、日本の企業におんぶにだっこでやりたいとは思っていません。自分の責任でやろうとしています。だからこそうちも手を貸すことができる。自立に向けて支援して欲しいとお願いされた訳じゃなく、自分たちがつくるおいしいコーヒー豆を日本の人たちにも是非飲んでほしい、と純粋に思っている。

2022年2月、彼らに寄り添ってきたアムダマインズの小林さんが、「村の人たちの思いをつなげたい、彼らの自立までの道のりを支援してほしい」、と平林金属に話をしに来ました。小林さんが語る、アムダマインズのこれまでの活動や熱意に平林金属が感動し、政府資金などによるプロジェクトが終了しても、そのプロジェクトをきっかけとして始まった村の人たちの活動を未来に繋げたい、と純粋に思った。即断で支援を決めた経営陣に小林さんも私も心が震えました。そこが大変すばらしい出会いだったりするので、これから説明します。

今回作ったチラシは、農園の自立、継続を助ける力になりたいというそんな思いで作っています。この麻袋には「エクスポーター(輸出会社):グローバルエコベンチャー。インポーター(輸入会社):平林金属」とひとつひとつ手書きでこのメッセージが書かれています。これがむこうとうちの関係を象徴していると思い、メインビジュアルにしています。ネパールはアジアの最貧国と言われています。成人一人の平均年収(GDP per Capita: 一人当たりの国内総生産)は1028米ドル(2021年)。年収15万円なんです。月収ではなく。なぜかというと、ネパールには現金収入につながる産業が育っていない。

国民の70%が農業に従事しているんですが、GDPにおける農業収入は30%に満たないんです。これはどういうことかというと、農業が現金収入につながってない。つまり、農業従事者のほとんどが昔ながらの自給自足の農業を強いられている、ということ。だから観光収入や出稼ぎで外貨を稼ぐしかないんです。

ネパールは皆大家族です。大家族なのに、一緒に暮らせない。生活のために若い労働力が海外に出稼ぎに出てしまうからです。その出稼ぎ先は主に、中東、東南アジア、それから隣接するインドです。年間約30万人の、特に若い労働力が海外に流出しています。これでは、国内の産業が育つ術もありません。そして悲しいことに、毎年約1,000人が遺体となって帰ってくるんです。例えば、新婚でお腹に赤ちゃんがいる女性が、出稼ぎに行った夫を失って生涯の未亡人になってしまった話などは、よく耳にするそうです。ネパール国内でお金を稼ぐ手段、働き口があれば、家族がバラバラにならず一緒に暮らせる。それが一番の願いです。それを叶える糸口が、「コーヒーの栽培」につながります。

ネパールはインドと中国という大国に挟まれた内陸国で、自国の開発を、両国はじめ諸外国からの経済援助に依存してきました。そんなネパールで、コーヒーの栽培は、国の発展をけん引する産業のひとつとなりうる希望の光なんです。

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