クンダンさんの農園で、そんな中、気になることが出てきました。コーヒーの木の根のつき方や根元が細い、おかしい。シェードツリーにしているアボカドの木が全く育たない…そんな問題が出てきました。明らかに昨年と違うんです。アボカドが育たないならコーヒーの木にも不足しているものがあるはず。本来2月には追い肥をしたかったのが十分に出来ていない。水牛の糞から作る堆肥が足りないんです。ここで「水牛10頭」の話に繋がってきます。完全有機栽培で生産しているのですが、堆肥を街で購入して山道を運び上げるのは、物理的にも経済的にもかなり負担になってきます。農園で自給できるのが理想。クンダンさん、水牛を買うための銀行借入を申請したものの、資本金より大きい金額なので融資が通らなかったと小林さんから聞きました。実は最も必要な案件だったんです。そういうの言わないところは悪くないでしょ。数日一緒にいましたが、数日ではクンダンさんを理解しきったとはいえなかった。帰国の時間が迫ってくる中、車の中でクンダンさんに、あなたを信用してもいいですか?と聞いてみました。水牛を買う支援がいま重要だと考えていますが、あなたは信用できる人ですか?と。最終的には人だと思います。その費用を他のことに使われたり、途中でやめになったらうちとしても何をやっているのか分からない。彼はじっと私を見つめました。そして「コーヒーを諦めることはありえません」と。そもそもやめることがもうできない状況だと。もともと拡張した山の上の土地はまわりのみんなで出し合った土地で、とても大切にしてきたとうもろこし畑を彼は切り倒したんですと。もし支援がなくなってもやめることは考えられませんと。信じていいと思いました。
本当に確実に、本当に美味しいと思ってくれる人、時間がかかっても、共感してくれる人に届けていきたいと考えています。バーンと売りたいわけじゃない。さばくことが目的ではなく、彼らの思いをくんだやり方で進めていきたいんです。